落とし穴
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4月は職場に定年退職者がいたこともあって、飲み会が多かった。
断酒歴3年半、たいていのことには動じなくなってきたが、それでも思わぬところに落とし穴や、罠が仕掛けられていたりする。
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今回ひやっとしたのは、立食パーティでのこと。酒類は一切駄目なので、もっぱら食べる方専門だ。最近は甘いものにも自然と手が出る。
宴も後半となり、デザート類が運ばれてきた。小さなグラスに入ったパフェ風ケーキを手にとる。スプーンですくって口に入れる。
『やばい!!』
一瞬躊躇したが、口の中のものをグラスに戻し、汚れた皿が置かれているテーブルの隅に、そっと置いた。
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スポンジケーキにたっぷりと、シェリー酒がしみ込んでいたのだ。きっとこのケーキを2,3個食べても、飲酒運転の検問にも引っかからないほどの量だろうが、これは危なかった。中川元大臣風に言えば、「ごっくん」していたら、断酒の経歴に傷がついていた。
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もうひとつ、ゆるせない罠。
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居酒屋での送別会。ぼくがずっと断酒しているのを充分知りながら、「**さんの送別会だから、久里浜さん、今日くらい一杯いいでしょう」と酒をすすめた年上の部下。
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まわりの女性陣が「ダメ、ぜったい!!」と彼を止めてくれた。いや、すすめられても飲むつもりはまったくなかったのだが。
彼は何かあるといつのこの調子だ。ぼくのことがよほど嫌いなのか、記憶力が悪いのか、想像力が欠如しているのか、酒屋のまわし者なのか。たぶんそのすべてが正解なのだろう。
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悪意がなくても落とし穴はある。
悪意に満ちた罠もある。
平和な世の中のはずなのに、ぼくのまわりは、けっこうハードボイルドなのだ。
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